『茶論』のお稽古初級四日目「濃茶に親しむ」
本日、茶論の初級コース四日目「濃茶に親しむ」。
フォーマルな茶事の主役、濃茶を初めて頂きました😲
薄茶の倍の量の茶葉で練られた濃茶はチョコレートのようにトロリと濃厚で、強いうまみを感じました。
濃茶と薄茶では、濃茶が「格上」なわけですが、元々はひとつのもの。鎌倉時代に抹茶法が伝来し、喫茶文化が広まった室町時代に至っても、両者の区別はありませんでした。
それが、安土桃山時代に記された詳細な茶会の記録『天王寺屋会記』に、濃茶と薄茶という表記が初めて登場したと言われています。
- 作者:千 宗室
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濃茶の作法ですが、一碗の茶を複数の客が順服する「回し飲み」で頂きます(お稽古ではご時世もあり、各自一碗で頂きました)。これは、皆で同じ飲食を味わうことで心を一つにする「一味同心」の精神に基づきます。
キリスト教のミサでは、聖杯のぶどう酒を回し飲みする儀式がありますが、千利休はこれを見て茶道に取り入れたのではないかとも言われています。
異文化の要素を積極的に取り入れる先進性、既存の常識にとらわれない柔軟な感性。茶の湯が拡がりと深まりを見せる上で、利休のプロデューサーとしての優れた手腕がいかに力を発揮したか、伺えるようなエピソードです。
茶事は、一汁三菜の懐石料理と濃茶、薄茶が出される最も正式な茶会。最長で四時間にも及ぶ、フルコースです。茶事に参加することをひとつの目標として茶道のお稽古をしているという人も多いそう。
私もいつかは参加してみたい✨
さて、12月はクリスマスということで、しつらえのテーマは異国情緒。
写真の美しい銀製の蓋物は、タイのチェンマイにある銀工芸の街で作られた、南鐐銀の小物入れを香合に見立てたもの。
そして掛物は、羊皮紙製の祈祷書!500年くらい前のものだそうです。
主菓子は「星霜」。もみじに霜の降りた様を表しているとのこと。季節感は主菓子の銘にも反映されます。
大変美味しゅうございました😍
よこはま紅葉散歩②
日本大通りは、横浜公園と港を結ぶ目抜通り。完成は明治3年頃、歩道と植樹帯を広く取った日本初の西洋式街路です。
横浜公園では、色とりどりの紅葉が和の空間に華を添えていましたが、こちらは黄金一色のイチョウ並木。道幅36m、ヨーロッパを思わせる洗練された街路の両脇に整然と並ぶ、シンメトリカルな美しさです。
この日本大通り沿いは、歴史的建造物の宝庫。戦前から続く由緒ある建物が並びます。
まずはその代表格として、旧横浜商工奨励館。関東大震災によって廃墟と化した横浜の復興事業として、昭和4年に建てられました。
横浜三塔のひとつ、愛称「キング」で知られる神奈川県庁本庁舎。
そしてこちらはKN日本大通りビル。三井物産横浜支店の事務所棟として1911年に竣工。日本初の全鉄筋コンクリートの建築です。
今回は中まで入らなかったのですが、ここには手動式扉のエレベーターがあるそうで、次回は要チェックです。
イチョウの色づくこの季節が、日本大通りの最も美しい時なのではないでしょうか。クリスマスイルミネーションが点り始めた黄昏時、「gooz」の店内焙煎のコーヒーを飲みながらオープンカフェで過ごす時間は、格別でした。
よこはま紅葉散歩
紅葉の見頃も終わりに近づいていますね。
先日、関内で紅葉を楽しんできました。
まず向かったのは、横浜スタジアムのある横浜公園。市内では山手公園に次いで古い西洋式公園です。
開港間もない1876年、在留外国人の生活改善の一端として遊郭跡地に整備された横浜公園。日本人も使用できたことから、「彼我(外国人と日本人)公園」と呼ばれていたそうです。
公園は1909年に「横浜公園」と改称されますが、横浜スタジアムが建設された1978年、公園内に日本庭園が整備されます。そして2017年「第33回全国都市緑化よこはまフェア」時の再整備を経て、日本庭園部分が「彼我庭園」と名付けられました。
それで、入り口の木塀も瓦も真新しい感じなのですね。
ちなみに屋根の瓦は、横浜発祥のフランス瓦である「ジェラール瓦」のレプリカ。細部にこだわりが光ります。
さてさて、この「彼我庭園」が、紅葉の穴場スポットなのです。
庭園は池泉回遊式庭園。こぢんまりとしてはいますが、モミジ、イチョウ、常緑樹などの取り合わせが、実に色彩豊かな紅葉の風景を作り出しています。
敷地内には蹲踞もあり、紅葉との相性は抜群。
都心の庭園の面白さは、豊かな緑を取り囲む高層ビルとのコントラストにあると思いますが、こちらは横浜スタジアムに隣接しているので、試合やイベントのある日には歓声が響き渡ります。
私の訪れた時も、イベント(おそらくベイスターズのファンミーティング)で賑やかでした。
この後、お隣の日本大通りに向かいましたが、それは次回の記事で。
日本大通りからふたたび彼我庭園に戻ってきた時は、ライトアップされた紅葉が幻想的な雰囲気を醸し出していました。
『茶論』のお稽古初級三日目「薄茶に親しむ」
「茶論」初級三日目のお稽古は、日本橋高島屋店へ。
テーマは「薄茶に親しむ」。抹茶の特徴、薄茶と濃茶の違い、薄茶の美味しい点て方を中心に学びました。
抹茶の茶銘には「白」「青」「昔」があり、このうち「白」と「青」が薄茶に使用され、それぞれの銘は製法の違いによります。「白」は茶葉を蒸して乾かすという伝統的な「白製法」、一方、蒸す代わりに生葉を灰汁に浸して茹でる工程を取るのが「青製法」と呼ばれます。
青製法は、将軍家茶吟味役の古田織部の時代に生み出されたそうですが、文献が少なく、分からない点も多いようです。
そして、白と青それぞれの最高級品を「昔」と名付けたのが、小堀遠州。「昔」は、甘味(うま味)が強く、濃茶に使用されます。次回のお稽古では濃茶を味わえるようで、楽しみです。
写真は茶漉しで漉した白のお抹茶。パウダースノーのようにきめ細やかになりました。
主菓子は栗きんとん🌰
日曜の夜だからか、はたまたコロナの影響か、日本橋界隈は人通りも少なく、とても静か。街のあちこちにイルミネーションが点り、もうすっかりクリスマス&年末の装いでした🎄
茶道文化の入口『茶論』のお稽古
先月から「茶論」でお茶のお稽古を始めました。
茶論は「茶道文化の入口」を謳っており、普段着、テーブルでのカジュアルなお稽古が特徴。通訳案内士として茶道のたしなみは必須ですが、いきなり本格的なお稽古はちょっと…と躊躇していた私にはもってこいの場所でした。
そして先日は横浜店で、初級コースの二日目。
玉露、煎茶、番茶など、身近なお茶の知識と、美味しい淹れ方の話が中心でした。
写真は、講師の方に淹れて頂いたやぶきたの煎茶。まず一煎目は、煎茶の適温70℃、抽出時間60秒で頂きます。
フレッシュ、フルーティーな味わい。これなら夜に飲んでも眠れそう。
二煎目は80℃、抽出時間ゼロで頂きましたが、苦味が出て、普段飲んでいる緑茶はこちら、という感じでした。
さて、11月は茶人の正月。なので、しつらえもおめでたい雰囲気。
お花は白玉椿とウィンターベリー。
香合は柿に見立てたマンゴスチン。
マンゴスチン!?柿でいいやん…とツッコミたくなるところですが、茶道では「見立て」の精神が大事にされます。「本来あるべき姿とは別のものとして見る」ということですが、元々は漢詩や和歌の技法からきた文芸用語。先月の茶論のしつらえでは、栗籠が花入れとして使われていましたが、これも見立ての一例。趣向を楽しむ見立ての文化、茶道はまだまだ奥が深そうです。
掛物は大名茶人、松平不昧の『壱楽』。
そして主菓子は、栗がまるごと一つ入ったお饅頭でした🌰
『茶論』で提供される和菓子は、奈良の和菓子屋『樫舎』さんから取り寄せられたもの。月が変わればお菓子も変わり、毎回のお稽古の大きな楽しみのひとつでもあります。
お饅頭に鹿がプリントされていますが、奈良のお菓子だから…というわけではなく、鹿は秋の季語だから。
奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋はかなしき 猿丸太夫
秋の深まりとともに、冬の足音も聞こえてきました。コロナ禍であっという間に月日が流れてしまった感がありますが、茶論のお稽古のような密度の濃い時間を増やしながら、一日一日を大切に過ごしたいと思います。